Psersonal record of experiences

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2019.1.24

バブ。

ある、光。

息子は、バブが好きだ。
初めてバブをお風呂に入れたのはいつだったろうか。
時期は覚えていないが、シュワシュワと溶けていくバブを見ながら彼は初めは泡に喜び・次第に姿を小さくしていくバブに胸を痛め・しまいにはワンワン泣き出してしまった。
「バブが小さくなってる!かか、シュワシュワをとめて!!!」
必死にわたしに訴える息子。どうしたらいいのかわからず困るわたし。
そんなわたしたちを置いていくように小さくなっていくバブ。

「バブはね、消えるんじゃないの。手の中にあったバブはお湯に溶けて、わたしたちを抱きしめてくれるんだよ。」
咄嗟にこんな言葉を告げていた。
バブの健気さを思ったら感極まってしまい、息子をぎゅっと抱きしめた。

手の中にあったバブは姿を変えて全身を包む存在になる。
似たようなことを考えたことあったなぁ。と、記憶を振り返るとドーナツの穴のことを思い出した。
そういえば小さい頃「ドーナツに穴なんかない!これは穴じゃないんだよ、世界だよ!」と、熱弁したことがあった。
昔から似たような考え方をしていたんだな、と思うと。
幼いときからわたしはわたしなんだなぁ…。と、なんとも言えない気持ちになった。

あたたかな湯船につかりながら、その存在に様々なことを重ねてみる。
それは時にドーナツの穴で。
時にバブで。
時にもう二度と触れることはできないあの人で。
時にバブに抱きしめられながら息子を抱きしめた、二人きりのあの時間かもしれない。

息子はバブが大好きだ。
「バブはえらいね。すごいね。」と嬉しそうに手のひらに乗せて湯船に浸かる。
わたしもバブが大好きだ。
大人になって好きなものが増えることがこんなに愛しいことだとは思いもしなかった。

これまで、〝どう生きていくか、どうなっていきたいか〟そんな壮大なことを考えては不安になったりしていたけれど。
大切なことは今日の過ごし方だけだと思うようになってきた。
1日を納得した気持ちで終わらせること。いまはそれが一番大切なことだと思っている。

息子と一緒にお風呂に入ることが当たり前のいまの生活も、きっとバブみたいなことなんだ。

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